2015/07/05

【Car Guide】トヨタ イノーバ TOYOTA INNOVA [IMV]

INNOVA front
日本の自動車メーカーは中間所得層の増加を見据え、新興市場向けの戦略車種を作り出し、シェアの拡大に努めています。今回はTOYOTAがアジア地域で販売をするミニバン、イノーバをご紹介します。




FRベース、TOYOTA INNOVAのマニアックなポイント

toyota-innova2


イノーバはトヨタの世界戦略プロジェクトIMVから生まれた新規車種の一つです。最初から新興国での販売を念頭に開発され、一つのプラットフォームから複数車種へと派生しているのが大きな特徴と言えます。

同じプロジェクトから生まれた車種として有名なのが、SUV(四輪駆動車)のフォーチュナー。こちらもイノーバと同様新興国において多く普及しています。

Innova exterior
ところでイノーバには、最近の日本車では珍しい以下のような変わった特徴があります。


1.ビックアップトラックと共通のシャシー
2.FR(後輪駆動)
3.短い全長での3列シート8人乗り


日本であればトヨタ車ほどFF(前輪駆動)ばかりですが、FRベースとなっています。また地上高が高いので、多少荒れた道でも走行が可能である点も、日本のミニバンであれば見られない特徴の一つです。タイヤの設定も205/60R15が標準(ベトナム仕様)であり、一時代前のRV車と同じ程度の大きさになっています。

使いやすさ優先の内装

img
(TOYOTA Malaysia HPより参照)

『どこでも使える道具』の色が強い車ですが、内装は道具としての機能はもちろん、チープさが出過ぎないよう工夫が加えられています。

グレードによっても異なりますが、高いグレードだとベージュ色の内装や、木目調の装飾、リアクーラーなど、日本でもありそうな装備が装着されます。タクシー専用グレードの場合は、ビニールレザーシートになったり、プラスチック部品が増加します。

アジアと言っても先進国から途上国まであるので、国によってエンジンからエンターテイメント装備まで仕様を大幅に変更している点が、面白い面と言えるでしょう。

Innova interior
写真のマレーシア仕様は日本でもあまり見ないワイド画面のナビが装備されていますが、ベトナム仕様の場合は、1DIN〜2DINのUSB/AUX付オーディオがついており、スマートフォンをつないで音楽を聴くドライバーも増えきています。また中国製のアンドロイドナビを自主的に装着する例も散見されるようになってきました。




7人までは普通に乗れる / 値段はそこそこ高い

全長約4,600mm、幅約1,800mmであり、エンジンルームもそこそこ大きくとってある分、室内の余裕は日本仕様のミニバンには劣ります。

しかし実体験として3列目も余裕を持って実用する事が可能です。流石に大人3人が並ぶのは厳しいので、実質的に7人までであれば常用出来ます。ただし3列目を使ってしまうと、荷物のスペースはほぼ皆無になりますので、日帰り移動が推奨されます。

値段は概ね日本円で250万円から。何を基準にするかは迷うところですが、日本のミニバンと比べれば装備は限られますから、日本人の感覚では少々割高に感じます。しかし日本国内と海外では製造数が全く異なりますので、製造台数が少ない分価格に転嫁するという方針なのかもしれません。

マニュアルミッションと合わせて耐久性抜群

アジア地域全体で見るとオートマチックミッション車も販売されていますが、私が良く見る車両の大多数は5MT仕様でした。国にもよりますが、多くの新興国ではまだまだ道路事情が悪いので、耐久性や整備性を考えてマニュアルを選択する事が多いと考えられます。

たまに古い個体のオドメーターを眺めてみると、20万kmレベルに達している事が少なくありません。頑丈な仕様の車体と、マニュアルミッションの組み合わせがあれば、多少価格が高くても元が取れそうです。

なお仕様が仕様だけに、乗り心地はそこそこレベル。特に3列目が飛び跳ねるような感覚は絶対に忘れられません。一方頑丈そうな印象も同じく伝わってくるので、道がガタガタでもこの車に乗っていれば安心出来ます。

私が良く行く国では『石を投げたら当たるほど』走っていますので、アジア好き、なおかつ車好きなら一度は乗ってみてはいかがでしょうか。






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