#3電装品編からの続き。最後となるフォーカスポイントは”走り”の部分です。果たしてアウディA5スポーツバックの走行性能はどのようなレベルにあるのでしょうか。
2.0TDIディーゼルターボの圧倒的な加速感
日本でディーゼルと言えば”ガラガラとウルサイ”、”遅い”と言ったイメージが強くあまり人気はありませんが、ターボや最新技術が投入されている現代の車ではガソリン車との差を大きく感じる事はありません。むしろ低速からの加速感(トルクの強さ)はガソリン車がトロく思える程の力強さです。
ただエンジンのスムーズさを思い出すと、以前レンタルしたジャガーXFの方がずっと滑らかで鋭い加速をしてくれました。排気量が200CC上ですので余裕の差が出ているのかもしれません。
190kmまで加速しても全く問題無し
160kmあたりまでは余裕の加速ですが、流石にそこを超えるとディーゼル故か少々鈍さが見えてきます。エンジン音やタイヤの音はそこまで大きくなく、例え200km台でも助手席の人と会話を楽しめる事でしょう。
もちろんリミッターなど無く、クルーズコントロールも100kmなどと言わず130km以上の高速巡行でも機能します。地方の速度制限が無い区間では、軒並み150kmあたりでクルーズコントロールを使用していました。
SトロニックではなくマルチトロニックCVT仕様
また一方で普段日本で運転しているCVT車に比べると、CVT特有のギクシャク感もまるでありません。『CVTでもこのスムーズさだとしたらスゴイ!』と、思わず唸ってしまいます。
デュアルクラッチミッション車としてはランサーエボリューションX(ツインクラッチSST仕様)に乗車した事があるのですが、凄まじくスムーズな変速の中でも流石に”継ぎ目”を感じる事が出来ました。
色々と調べてみるとA5スポーツバックにはCVT仕様がメーカーオプションとして設定されています。日本では高価な設定が好まれるので、あえて高級であろうSトロニックが優先されている様子です。
AUDI唯一の弱点?軽すぎるステアリング
例えばアウトバーンの合流手前にあるカーブで50kmほどの一般的なスピードで入っていったのですが、あまりにステアリングが軽く路面の感覚が掴みとれませんでした。思わず怖くなってブレーキを踏みます。
田舎道のワイディングロードでも同様で、本来曲がれるはずのスピードでもステアリングが軽すぎて車体の動きと乖離しているような印象を受けてしまいます。「曲がれるのか曲がれないのか分からなくなる」。言葉で表すとそんな感じです。
車体の剛性は日本車の比ではなくガッチリしていますし、S-line仕様故かサスペンションもややゴツゴツした硬めの設定です。安定感はバッチリなのに、ワイディングになると不安を覚えるのはステアリングの設定が合っていないからではないかと疑ってしまいます。
AUDIドライブセレクト
例えばスポーツにするとメーターの液晶が赤くなり、ギアの変速が6速までに限定されます(CVTなので擬似的に6速を再現)。またどうやらサスペンションも硬めになるようです。もしかしたら最初からスポーツモードにしておけば、先のステアリング操作の不満も解消されたかもしれません。
欧州車はどちらかと言えば電子的な制御が苦手な印象を持っていたのですが、AUDIの車内を見る限り日本のメーカーよりも積極的に新しい技術へと挑戦している事が良く分かります。
最終的にステアリング操作にのみ違和感を覚えたものの、総じて安定感があり運転しやすい車であったと言えます。日本人特有の悩みはサイズの大きさでしょうか。普段小さい車に慣れている分、どうしても横幅の大きさにたじろいでしまいます。またハッチバック故に後ろが見えず、駐車では難技しました(もちろんカメラは非装着!)。
カッコイイ欧州車で最高の旅を創り出す
海外旅行が一般的になった今でも、日本人が選ぶのはどちらかと言えば添乗員付きのツアーや、観光地化した場所と言ったリスクの低い旅が多いのではないでしょうか。年齢や考え方の違いがありますので、各自の旅の仕方を尊重しますが、たまには”海外で運転する”と言うような冒険があっても良いと考えます。
観光バスでは出来ない寄り道や、絶対に泊まらないようなホテルへの宿泊が叶うのもレンタカー旅の醍醐味です。これから益々ボーダーレスな時代に入っていく中で、日本人の旅の選択肢が更に広がる事を期待するばかりです。